【レポート】「京都をつなげる30人」オープンセッション(チームFlat)

2022.1.19 京都信用金庫QUESTIONにて、下記の問いを考えるオープンセッションが行われました。

セッションテーマ( 問 )
シェアハウスなどの居住空間の中でできるコミュニティを、どうやって外に広げ、地域に貢献できるコミュニティへと昇華できるか

この問いを投げかけた人:フラットエージェンシー 橋本 浩和(PM部部長)
(話:橋本)問いの設定にあたり、まず念頭にあったのは《「不動産」を通じて社会に貢献したい》という思い。その実践として、自身が力を入れて携わってきたシェアハウスプロジェクト「京都下鴨修学館」が挙げられるが、今、このプロジェクトを通して考えているのが、シェアハウスで広がるコミュニティが内での広がりのみになっているのを、もう少し発展させて地域活性に繋げられないかということ。「シェアハウスでできるコミュニティが外に広がることで、地域の課題(孤独など)の解決に繋がるのではないか」と感じている。

「集まってくれた皆さまと協力して地域を盛り上げていきたい」と挨拶。

当日は、橋本と橋本の問いに共感した「京都をつなげる30人」プロジェクト(以下PJ30)メンバーの呼び掛けのもと、シェアハウスオーナー、建築士、インテリアコーディネーター、地域活動の企画者、観光関係者、教育関係者、学生など、多様な人々が集まった。フラットエージェンシー(以下フラット)からも、シェアハウス運営に携わっている管理課スタッフ、シェアハウスの立ち上げや入居者募集に関わってきた営業スタッフや建築スタッフなどが参加。

---以下レポート---

【前半】 全員でトーク 

(フラット・橋本)【問について】フラットは今まで複数のシェアハウスを手掛けてきた。それは、一人暮らしの孤独や不安の解消、繋がりをつくりたいという入居者の思いにこたえるため。だが、ハウス内でコミュニティが出来ても、せっかく地域への貢献・まちづくりを掲げている会社なのに、地域へは還元できていないのではと感じる。その思いから、今回、地域の課題(孤独や寂しさ、高齢者の生活・住まいの問題など)を、シェアハウスとつなぎ合わせて考えられないか?と問うた。

話題① シェアハウス内のコミュニティについて

内のコミュニティが出来ているシェアハウスの事例として「京都下鴨修学館」が挙げられる。このシェアハウスには、 「家族」として暮らすこと(拡張家族)をコンセプトに掲げるCiftが館内半分に入居。住人であるCiftメンバーのひとりがコミュニティマネージャーを務め、運営も主導している。

(フラット・久保 「京都下鴨修学館」に入居中)管理している他のシェアハウスよりも、住人同士の距離感が近いと感じる。住んでみた感覚としては田舎の家の感じに似ている(お正月やお盆に親戚が集まって、あまりよく知らない人も同じ席で一緒に過ごしたり、お酒を飲んだりするような)。

(PJ30・Kenさん(観光ガイド等))「シェアハウス」ってそもそもコミュニティがあるイメージ。コミュニティができる、できないの違いは?

(フラット・久保、橋本)例えば学生だけのシェアハウスなどの場合、運営側が後ろからサポートしないと、なかなかコミュニティはできない。修学館にはコミュニティマネージャーがいたり、月1回のミーティングがあったりする。旗ふり役、きっかけを生み出す発起人が必要。

外にコミュニティを広げようとするならば、まずは内のコミュニティが必要。
・・・そのためには、どうすればよい? …話題②へ


話題② 内のコミュニティはどうすれば出来る?

(PJ30・しんしんさん(京北住民))部活の寮(目標を共有)のように、共有・共通のもの、繋がりがあるとコミュニティがうまれやすいのでは。職業が同じ人同士でのシェアなど。ハウスじゃなくてもよい、シェアタウンなどでも。

(フラット・橋本)京都の路地のような形もコミュニティのひとつ。

(フラット・岩崎)単純に金額が安いから集まるというシェアハウスもある。その場合なかなか関係性はうまれないので、ただ安いだけではなく、テーマや共通項を設けるのは大事。

(荒川さん(大家業・地域マネジメント))何をシェアするか、が明確にあるべき。例えば部活→目標、修学館→価値観をシェア・共有している。ハウスをシェアするだけでなく、テーマ・価値観を共有し、それを誘導するマネージャーや家主がいて、価値観(テーマ)A、A´、、、をつなぎ、共有できる場を広げていく。ハウスにこだわらずに。シェアエリア、シェアワークなどでも。

(PJ30・とってぃさん(洛北社中))社会の流れからすると、個人の時間・価値観など「個」も大切、重視される。完全にシェアするのではなく、時と場合によって、つながる・離れる、という形が求められている。「家」にこだわらず、つかず離れずのゆるいコミュニティ。

(しんしんさん)■荒川さんの話を受けて:目に見えないものをシェアするというのは面白い。何をシェアするのか、価値観、共通概念を明確にする。■とってぃさんの話を受けて:住む場所、働き方、暮らし方…選択肢が広がった現代、自分の好きな世界観や価値観のコミュニティに入っていける。仕掛ける側は自分たちの価値観を明示しておくと、共感する人に見つけてもらいやすい。例えばオンライン上では色々なコミュニティができている。それを生活レベルに落とし込んでいくイメージ。

「ハウス」にこだわらずに、共通の価値観や概念をシェアする。
・・・問いの着地点でもある「地域への貢献」につなげるには? …話題③へ


話題③ 「地域貢献」に向けて

(加藤さん(建築士))地域活動として、京都の場合「地蔵盆」がある。祭り、イベント事をきっかけにする。餅つき・花見などを開催し、地域の人にも入ってきてもらう。共同リビングや共同キッチンをうまく活用。

(服部さん(外国人向けシェアハウス運営))自身の運営しているシェアハウスは、入居者が地域の人に英会話を教えるなど、地域との繋がりがある。近所の方がシェアハウスに遊びに来ることも。自治会長が理解ある人でサポートしてくれた。町内会にまとまりがある。町内のイベントに留学生も参加。自分が同じ家に同居しているので安心してもらえたのかも、管理会社任せだとまた違っていたかもしれない。

(フラット・松尾)社会課題のひとつである「孤独の解消」を考える上で、大事なポイントとして「防災」を挙げる。隣近所に子どもを預けられる、「最近あそこのおばあちゃん見ないな」などと気づける関係性が築けていると防災につながる。そういう関係性を育てていくために、新たに計画中のシェアハウスでは、敷地内に近所の方が使えるコミュニティスペースを設ける予定。あとは「子ども」をどう参加させるか。

(とってぃさん)地域で協力、シェアすることで、自治体の問題、教育の問題など、色々な問題を複合的に解決につなげられるかも。

問の答えにつながるこのパート。さらにグループに分かれて議論することに。

【後半】 グループトーク

【チーム1】
まずは内のコミュニティをどうするか。同じ職種・同タイプの人ばかりだとトラブルも起こるので、give and takeの関係性、役割の違う人同士でシェアするのはどうか。(町の成り立ち(町人・商人・職人…)のようなイメージ。)そういうコンセプトだと、知り合いづてに色々な役割の人が集まり、広まっていくのではないか。…そのためには、ハウス以前にコミュニティをつくる。最初に人を集めたり、誰がどの役割、どんなことが得意などを見極めるような、コミュニティをデザインできる人がいると強い

【チーム2】
内のコミュニティづくりには共通のテーマを設けて入居者を絞る。外に開いていくには「ちょっとおいでよ」ぐらいの簡単な声かけをしてくれる人がいるとよい(コミュニティマネージャー)。プラス外から内に入ってもいけるような工夫を。オープンスペースで一緒にご飯を食べられるなど。薄くても「挨拶する・知っている」程度の繋がりが重要。それぐらいの関係性だと気楽にやっていける。強いつながりをつくるにはエネルギーがいる。ハード面でも例えば「縁側」など、人が集まりやすく去りやすい緩やかな空間や動線があるとよい。

【チーム3】
地域の人たちにも意識を持ってもらう。シェアハウスから(内から外へ)の一方通行だけにならないように。現代は現代で、SNSなどの昔とは違った形でのつながり・シェアがあり、今にあった方法があるのではないか。不動産業・管理業の働き方が変わり、コミュニティマネージャーの役割を担うようになっていくかもしれない。

【チーム4】
地域との繋がりを緩くでも育てていくためにはコミュニティマネージャー(人・先駆者)が大切。ひとりでなく持ち回りでも。(複数人で関わればより広がる。)シェアハウスの敷地内などに「リサイクルステーション」を設け、そこで一服できるようにし(簡単なカフェ設備有)、挨拶程度でも自然と顔をあわせられる場所をつくる。また、地域住民とwin-winになる仕組みをつくり、地域とつなげる。(高齢者施設の事例あり:子どもが介護の手伝いをする代わりにゲームOKなどの工夫)

【チーム5】
地域の問題として、京都にくる学生さんが就職で京都を出ていくことを挙げる。学生時代の一人暮らしの間に、地域と関わることがあまりない。そこで、シェアハウスのオープンスペースに、地域の人がいらなくなった本を提供できるシェア文庫を設置したり、そこでラジオ体操をするなど、地域との接点を設ける。「自分の得意なことをシェア」するような繋がり方、コンセプトも面白い。

(フラット・橋本)やはり「ひと」が大事。新しい人を連れてくる、繋がりをつくるきっかけにもなる。それと緩くつながれる場所を提供することも大事。"なんか毎日顔あわせているなー"程度からだんだんとつながっていく、じわじわと地域とつながっていく。今日のオープンセッションで、またたくさんの方とつながれた。問いについての考察も深められた。今日出た話、アイディアを踏まえて、次のアクションを実行していく。

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つなげる30人(Project30)とは:市⺠・企業・行政・NPOから構成された約30人の地域のまちづくりプレイヤーが協働し、地域にイノベーションを起こす事業を創造するプログラム。フラットエージェンシーは「京都をつなげる30人プロジェクト」に第1期から参加しております。

京都をつなげる30人第3期(2021年度)
〜京都発脱炭素ライフスタイルのコレクティブインパクトを生み出す
主催︓Slow Innovation株式会社 協賛︓京都市 協力︓京都信用金庫